セブ最貧困地区「墓場のスラム街」ロレガで、ギャングのボスとご飯を食べた話。
東洋最貧のスラム街、フィリピン・マニラのトンド地区でショックを受けた私は、いても立ってもいられない気持ちになり、人生初のボランティアに踏み出してみたのであった。
本当はトンドのボランティアがしてみたかったけれど、検索してもなかなか引っかからず。同じフィリピンであればと、セブのボランティアに参加した。
セブのボランティアは日本に限らずたくさんある。その理由の一つは、フィリピンの他のエリアと比較して島全体の治安がいい方だからだと思う。また、今回行ったロレガ地区など、日本ではマイナーだが世界的に有名なスラム街も幾つかあるみたい。
セブで1番危険なスラム街、ロレガ
セブ市、ロレガ地区。
そこは大規模なショッピングモール「アヤラショッピングセンター」からタクシーで10分ほど。
ここはセブで最も危険と言われる、最貧困のスラム地域のうちの一つ。
ギャングチームが多数おり、人身売買、ドラッグ、拳銃などが横行している。
もともとお墓の上に人々が集まって住み始めたこのエリアは、2014年に大規模な火災が起き、一面焼け野原となってしまった。
火災によって家はすべて焼けてしまったものの、それとともにこの地に蔓延っていた悪も一旦リセットされたことにより、治安は随分と改善している。
しかしそれでもまだ、ギャングチームは6つあるとのことだった。
トンドと異なり、ここの人たちはゴミを売っているわけではない。
ただ、日中もたくさんの大人達がいたし、多くの子供達はストリートチルドレンーつまり路上でものを売ることで家計を支えている。当然学校に通うことは難しい。なぜなら、彼らの微々たる稼ぎがあるとないとでは大違いだから。たとえそれが、100円程度の稼ぎであったとしても。
無垢な目で遊ぼうと言ってくる子供たち。ちなみに男の子は6人兄弟の末っ子。6人兄弟はこのエリアでは珍しくなく、10人もざら。
お母さんは、「私は子供6人しかいないのよー!」と言って豪快に笑った。
昼間からおしゃべりに興じる大人たち、その周りで大はしゃぎしている子供たち。
これはスラム街のインターネットカフェ。1ペソ(約2.5円)で5分間使用することができる。オンラインで何をしているのかというと、Facebookだ。
フィリピンでのFacebook人口普及率は33.97%(2015年)。日本は17.44%なので、大きな関心が伺える。実際スラム街の子供たちもFacebookに登録している子がたくさんいて、すこし会話すると「Facebook登録してる?」と聞かれる。
もちろんオンラインゲームも人気で、男の子が人だかりになっているとだいたいゲームをしている。
暑いのでプールで遊ぶ女の子たち。
これはマニラのスラムでも見かけた光景。
スラム街の脅威の一つ、犬。
昼間はおとなしい彼らが、夜になると牙をむく。スラム街の死因の上位には、狂犬病が上がってくるそうだ。私はもともと犬が苦手なので出来る限り逃げていた。
住民はみんな慣れているのかと思いきや、意外にも犬が苦手な人もいた。噛まれたら死ぬから離れた方が良いとアドバイスを受けた。
1番大きなギャングチームのボスだった男は、ロレガ地区のリーダーになった。
ロレガ地区には世界各国から支援の手が差し伸べられている。日本とシンガポールのボランティア団体が多く、次いでヨーロッパなどが並ぶ。
そんな海外からの支援を受けるロレガの窓口となっている男性が、ロレガ地区のリーダー的存在である、神父のデイビス氏。
彼は若かりし日、ロレガ地区最大のギャングチームのリーダーだった。
私は今回彼の元で、ロレガ地区支援のお手伝いをした。
デイビス神父が拠点とする、集会所。最近やっとお金が集まったので完成したのだというその建物は新しく、希望に満ちた空気がある。
彼はしきりに、人生にとってビジョンを持つことが大事だと言った。
彼のビジョンは、ロレガを良くしたい。そのためには未来ある子供たちを自立させる必要がある。子供たちの自立に不可欠なのは教育。まずは教育が受けられるような環境を作ること。そしてそのためには、子供達に教育の大切さを教えたり、機会を創出するだけではなく、家庭全体のサポートをしていかなければならない。教育を受けられないのは、家庭が貧困だからである。デイビス神父は母親に内職を斡旋したり、父親を職業訓練所に行かせたりすることでサポートを行っている。そのサポートに資金、職業支援、就学支援などの手を各国のボランティア団体が差し伸べているという状況だった。
彼が行っているのはコミュニティ開発だと語った。そしてそれはビジネスではなく、ライフワークであると。
その元で手伝いをしているロレガ地区の子供たちも、口々に私に聞いてくる。
夢はなんですか?
ビジョンはなんですか?
雑談の中で普通に飛び交ってくる「夢」という単語。子供達はそれぞれに夢を持っていた。先生になりたい。大学へ行ってお金を貯められるようになったら旅行がしたい。
私の夢はなんだろうなあ。毎回返答に困った。
今が楽しければそれでよくて、今楽しいと思ったことだけをやり続ける人生でありたいなあ。というのが人生における私のモットーではあるけれど、希望あふれる目標に向かって人生を前向きに進めようとしている彼らと同列で語れるような夢ではないな。
そんなことを毎食思った。
デイビス神父の奥さんが、昼と夜にご飯を作ってくれて、みんなで食べた。
豚足。滞在中この日だけ、野菜が出てきて感動した。海藻がしょっぱくてめちゃめちゃ美味しかった。
チキン。レチョン・マノックと呼ばれるフィリピン料理で、鳥の丸焼き。フィリピンはとにかく鶏肉が美味しい。これもめっちゃ美味しい。肉がジューシー。味付けは醤油に少し似ていて食べやすい。フィリピンではそこかしこで見かけることができる。これは食べやすいように細かく切ってくれたもの。
フィリピン料理にもともと馴染みがある私にとっては食べやすいしすごく美味しかったのだが、基本的なメニュー構成は米と肉のみ。そしてコーラ。絶対太る…。
もともとジュースを一切飲まない私だが、この滞在によって今や白米をコーラで流し込むことに何の抵抗も覚えなくなった。(太る)
ちなみに、フィリピンにいるとよく見かけるスナックがある。路上で売っていて、ビールのおつまみに良い。安い。50円もしないくらいで買える。
その正体は、豚の皮。
スラム街へ行くと、料理している光景をよく見かける。
これ全部豚の皮。
大量に揚げる。黒いのは油。
こんな感じのやつ。て、これは魚だった!間違えた!でも見た目は似てる。
材料となる豚の皮と、油があまりよろしくないので、お腹を壊すものではないにしろ常習的に食べるのはやめたほうが良いかと。
それにしても人は、同じご飯を食べて生活すると仲良くなるな。
神父が次々に肉と米を進めてくれるのが、優しいなと思った。
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